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総務省のIT規制強化案 ネット利用者保護が骨抜きに 経済界反発で「人権」後回し - 東京新聞

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 総務省が今国会で目指す法改正のためのIT規制強化案が18日まとまった。当初は利用者保護に力点を置いて検討されてきたが、土壇場になって経済団体の反発で大幅に後退した。ネットで集めたデータの活用は進むが、経済活動への配慮がにじむ形となり、課題が残された。(特報部・宮畑譲)

当初より規制内容が後退した検討会の報告書案

当初より規制内容が後退した検討会の報告書案

◆「クッキー」によるデータの外部送信制限目指したが…

 「せっかく議論を積み重ねたのに、最後にひっくり返された。ほぼ骨抜きになってしまって残念」。規制強化の検討会の委員を務める中央大の石井夏生利教授(情報法)が1月に示された案の内容に不満を漏らす。

 総務省が改正を目指しているのは電気通信事業法。今国会に改正法案を提出する予定だ。法改正の参考とするため利用者保護や通信の安全を目的に検討会で議論が続けられてきた。

 石井教授が特に問題視するのが、「クッキー」による利用者情報の取り扱いについてだ。クッキーはウェブサイトを訪れた日時や回数、利用者のアドレスなどを記録する。利用者の端末とサイトでやりとりされ、このデータは広告、マーケティング会社に送信される。これが、ネット関連企業の収入源となっている。

 過去に見たウェブサイトとは直接関係がないのに、関連する内容の広告が勝手に掲示されるのはこのためだ。「ターゲティング広告」と言われ、広告効果が高いとされる。

 クッキーでやりとりする情報は氏名などを特定するわけではないため、個人情報保護法の対象ではなく、無断でやりとりしても違法にはならない。事実上、ネットの利用情報は外部に筒抜けになっている。

◆事前の同意義務づけ→通知、公表だけで構わないことに

 こうした現状を受け、当初は利用者保護を中心に議論が行われた。情報が外部に送信されることに対し「事前に利用者の同意を取得する」ことや、利用者の求めで情報の提供を停止する「オプトアウト」を義務付けることが昨年11月の段階では議論されていた。

 しかし、1月14日に示された強化案では、通知、公表だけでかまわないことになり、オプトアウトも見送られた。これでは「利用情報が提供されます」などと書かれたプライバシーポリシーをサイトのどこかに記載すればよく、現状でも広く行われている。

 石井教授は「当初の目的には遠く及ばなかったのは残念だが、今回のとりまとめを第一歩として、今後も不断に法の見直しを行っていくべきだ」と話す。

◆情報提供 欧州では「本人同意」原則

 法律を見直すきっかけとなったのが、「ケンブリッジ・アナリティカ事件」だ。英国のデータ分析会社がフェイスブックの利用者情報を2016年の米大統領選や欧州連合(EU)離脱を問う英国民投票に利用していたことが分かり、大問題となった。

 昨年3月に明らかになったLINE問題では、利用者の個人情報が中国企業で閲覧可能となっており、情報の保管先(サーバー)の管理のあり方が問われた。しかし、今回はサーバーの設置国の公表も明確には求めなかった。

 同じく検討会の委員を務める森亮二弁護士は「改正の方向性は正しいが、クッキーとLINE、いずれも検討会が設置された動機となった問題は完全には解決されなかった。欧州ではクッキーによる情報収集は本人同意が原則であり、これを参考としたアップデートが求められる」と話す。

 議論を続けてきた有識者が相次いで不満を表明する規制強化案。骨抜きになった背景には、経済界からの巻き返しがあった。

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February 24, 2022 at 04:00AM
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