戦後日本の民主主義を支え、民意を測る「物差し」と言われる世論調査が、2度目の変革期を迎えている。1度目は1980年代で、訪問調査から電話調査へ変わった。昨年秋の衆院選の情勢調査では、複数の報道機関がインターネットやスマートフォンのショートメッセージサービス(SMS)を活用した。ただ新方式は世論調査に向かないとの指摘もあり、模索が続く。(浜口武司)
◆電話調査への拒否感
埼玉大学社会調査研究センターがオンラインで12月に開いた「世論・選挙調査研究大会」。ネット調査会社の登録モニターへのウェブ調査を導入した朝日新聞や、SMSを活用した毎日新聞の担当者らが目的や成果を報告した。
導入の背景は電話を巡る社会の変化だ。朝日の担当者は「固定電話を持たない人が増え、携帯電話でも大半の人は文字メッセージでやりとりする。電話を使った詐欺も横行し、電話調査への拒否感は増している」と説明。毎日の担当者は、従来調査では若者世代の把握が難しくなったと指摘し「回答者が高齢者に偏り、調査結果に影響を及ぼしていた」と明かした。
コロナ禍や費用面の理由もある。衆院選は小選挙区(定数289)ごとに一定のサンプルが必要で調査が大規模になり、大勢の調査員(オペレーター)を投入する従来型は費用がかかる。密回避でコールセンターを分散すればさらに費用がかさむ。新方式で、費用は「相当程度圧縮できた」(朝日)という。読売、産経両新聞は、新たに自動音声調査を採り入れた。
◆新方式、データ集計・解析に課題
新方式の精度はどうか。複数の専門家の分析によると、各社の小選挙区情勢記事で、名前が最初に挙げられた候補者が当選した割合は84~89%だった。2017年衆院選より数ポイント低かった。接戦が多く予測が難しかったとの指摘もある。
比例代表(定数176)では立憲民主党を選挙結果より多く、日本維新の会を少なく予測した社が目立った。原因は特定されていないが、新たな取り組みで、データを集計・解析するノウハウが確立されていないことも一因とみられる。
戦後、連合国軍総司令部(GHQ)の指導で始まった世論調査は、国民の縮図となるよう対象を無作為抽出し、調査員が面接調査。各家庭に電話が普及すると、1986年衆参同日選で日経新聞が初めて電話による全国情勢調査を行い、翌年から世論調査でも電話が使われるようになった。
◆社会に合わせた変化は不可欠
衆院選で新方式が導入された後も、毎日を除く各社は月例の世論調査で従来の電話調査を続ける。調査会社「日経リサーチ」の佐藤
「世論調査も社会に合わせて変わらざるをえない」と話すのは、埼玉大の松本正生名誉教授。「毎日と朝日が文字ベースで調査を行ったインパクト(衝撃)は大きい。実績が一つできた」と評価する。
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