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転職即休業…支援漏れ〝理不尽〟なセーフティネット 国「線引き必要」 - 西日本新聞

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 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、収入が一時途絶えた労働者に支給される国の感染症対応休業支援金・給付金(休業支援金)。私立高校の非常勤講師から「4、5月が休校で無給だったのに対象外とされた」との声が、西日本新聞「あなたの特命取材班」に届いた。4月1日付で新しく雇用契約を結んだため、賃金の支払い実績がないことが理由という。専門家は「転職者や非正規労働者に不利な制度だ」と指摘する。

 投稿を寄せたのは中国地方に暮らす50代女性。3月末まで勤務した学校とは別の学校法人と本年度の雇用契約を結んだが、担当する授業が再開したのは6月に入ってから。4、5月の2カ月間は仕事がなく無給だった。「貯蓄を取り崩してしのぎました」

 厚生労働省の休業支援金は、事業主の指示で休んだ労働者に対し、休業手当を受けられない場合に「休業前の平均賃金」の80%を支給する制度。労働者が直接申請できるのが特徴で、対象は4月以降の休業だ。

 女性は厚労省のコールセンターなどに何度も問い合わせたが「新しい学校での給与の支払い実績がなく、休業前の平均賃金を計算できない」として対象外と説明されたという。つまり、1カ月早く職場を変わっていれば、給付対象となっていた可能性がある。

 特例もある。4月採用の新卒だと“勤務ゼロ”でも対象。若年者雇用維持を理由とし、労働条件通知書などから賃金を算定する。この女性は「1こま当たりの給与は決まっているし、授業計画も雇用契約書もある。理不尽な制度だ」と憤る。

      ■

 労働基準法は休業させた場合、休業手当を支払うよう規定。一方で、厚労省と文部科学省は3月末、行政からの休校要請で授業がなくても、オンラインの準備や生徒指導などで、非常勤を含めてできる限りの仕事を確保し、休ませないよう各校に要請している。

 厚労省によると「雇用主が休業回避の努力をしたか」「休業手当を支払う責任があるかどうか」の見極めは、各地の労働基準監督署が監督に入った上で個別に行う。休業支援金はそもそも、休業手当が未払いの労働者を救う狙いで設けられたが、女性は両方のセーフティーネットを活用できなかったことになる。

 同省雇用保険課は「立ち入って個別に詳しい事情を聞き取れれば、対象にできるケースもあるだろうが、休業支援金は迅速な支給を目的としており、そこまで対応していない。一定の線引きは必要」としている。 (竹次稔)

制度設計が悪い

 地方自治総合研究所の上林陽治研究員(社会・労働政策論)の話 せっかく労働者が直接請求できる支援金なのに、制度設計が悪い。給与実績にこだわりすぎると、4月に職場が変わった転職者や非正規従業員が不利になる。大企業や公務員が除外され、対象も狭い。非常勤講師については実際、休校期間中も自宅でさまざまな準備をした人も多かったはずだ。

【ワードBOX】新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金

 新型コロナで休業した中小企業労働者のうち、休業手当を受けられなかった人が対象。「休業前の平均賃金」の80%が支給される。7月10日から受け付けが始まり、9月24日時点申請件数は約37万1千件、支給決定件数は約17万7千件(累計支給額約142億円)、不支給決定件数は公表していない。

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October 04, 2020 at 06:00AM
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