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ネットの発展とVCの進化 - 日本経済新聞

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ブロックチェーン技術がもたらすWeb3が社会を大きく変革すると期待されている。ネットメディアや電子商取引(EC)など「受信の民主化」のWeb1、SNSやUGC(ユーザーによるコンテンツの作成・発信)など「発信の民主化」のWeb2、Web3では「所有権の民主化」ともいえる変化が起きている。

インターネットの進化になぞらえると、日本におけるベンチャーキャピタル(VC)もVC3ともいうべき変化を目の当たりにしている。

個社VCごとにモデル、特長は異なるが産業史的な総論でいうと、1990~2010年代半ばまでがVC1の時代だ。VCは資金供給という最も根源的な付加価値を提供していた。それ以前はリスクマネーは存在すらしていなかった。

起業家は自己資金や知人からの借り入れではじめるしかなかった。また、成長資金の調達は困難で事業が生み出すキャッシュフローの再投資と黒字化以降の融資だけが頼りで、成長のスピードは上がらなかった。そこにVCが登場し、ゼロになってしまうリスクをとる代わりに、大きく成長して、株式を売却する機会が巡ってくると、大きなリターンを上げるというモデルを持ち込んだ。

当初は数千万円の単位だったが、やがて億単位での調達が可能となった。VCがその本分ともいえるリスクマネー、成長資金の供給の担い手となったのだ。

10年代半ば以降はVC2の時代だ。アベノミクスの追い風を受け、多くのVCが設立され、VCファンドの調達額も倍々ゲームで成長し、21年には8000億円に達した。すると、10億円単位での資金供給は当たり前となり、VCの付加価値のフロンティアは資金以外にどのような支援ができるかに移行した。戦略や組織開発、CXOやメンバーの採用、コーポレート部門のアウトソーシングなど各VCが支援サービスを充実させていった。

18年に日本初のユニコーン(時価総額1000億円以上のスタートアップ)メルカリが上場し、20年代に入ると局面は更に進展した。メルカリの上場後3年半で、上場以降に達成した企業も入れると時価総額1000億円に到達したスタートアップは30社ほどに上る。定常的に1000億円企業を生み出す土壌は整ったのだ。ユニコーンのレイトステージにおける資金需要は100億円単位に至り、VC3の時代においてVCの付加価値は大規模な資金を供給という点に原点回帰している。

筆者が運営するグロービス・キャピタルでも6月に新ファンドを過去最大となる500億円で1次募集を完了し、1社あたり100億円規模で資金を提供できる体制を整えた。VC3としての進化を全うして、日本のユニコーンが世界に羽ばたき、日本の新産業となるよう支援していきたい。

[日経産業新聞2022年8月12日付]

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August 15, 2022
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