ＡＩ＝人工知能を使って「モザイク」を除去するという技術でアダルトビデオを加工し、インターネット上に掲載したとして、兵庫県に住むサイトの元運営者が著作権法違反などの疑いで逮捕されたことが捜査関係者への取材で分かりました。
逮捕されたのは、兵庫県高砂市に住むインターネットサイトの元運営者、中本正幸容疑者（４３）です。
捜査関係者によりますと、中本容疑者は、ことし１月、ＡＩの技術を使って、アダルトビデオのモザイク部分を加工し、みずからが運営するサイトに画像１０枚を掲載したとして、著作権法違反などの疑いが持たれています。
専用のソフトウェアを使ってモザイクの部分をＡＩに推測させて再現し、加工した動画を販売していて、警察のサイバーパトロールで、発覚したということです。
これまでに販売した加工動画は１万本を超え、少なくとも１０００万円余りの利益を得ていたとみられるということで、警察は販売実態について詳しく調べています。
捜査関係者によりますと、中本容疑者は、警察の調べに対して、容疑を認めているということです。
ＡＩを使った「モザイク除去」の技術の使用者を摘発するのは全国で初めてとみられ、警察では、悪質な画像の加工については、取締りを強化することにしています。
【専門家“注意を”】。
「モザイク」を除去するという技術の仕組みは、大量のデータをＡＩに学習させて、モザイクの部分を推測して再現させるもので、もともとは低い解像度のものから色や形を推定して高い解像度で画像を鮮明に加工するための技術です。
画像処理の技術に詳しい国立情報学研究所の越前功 教授によりますと、この技術を使えば、車のナンバープレートの数字や文字など単純な情報のほか、果物や動物など同じ特徴を持つものでは、モザイクがかけられた部分が本物により近く再現される可能性があるということです。
一方で、人間の顔など多様で複雑なものについては、この技術を使っても、再現することは難しいということです。
越前教授は「モザイク処理がされた証明書などをＳＮＳに投稿した場合、技術を悪用すれば情報が復元される可能性が少なからずあるため、個人情報など本人にクリティカルな影響があるものは、モザイクをかけても公開を控えるべきだ。現在ではこの技術を導入したスマートフォンのアプリもあり、モザイクを加工した場合、悪意がなくても深刻な名誉毀損に発展する可能性があるため、利用には注意が必要だ」と話しています。
October 18, 2021 at 10:14AM
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