図表1 S&P500指数の一目均衡表(日足、3ヵ月)
![](https://sbisec.akamaized.net/sbisec/images/base/g_market_report_fo_america_221024_01.gif)
3,700ポイント以下の水準では機関投資家による押し目買いが入っている模様で、徐々に相場の底が堅くなっているとみられます。当面の上値目途として、一目均衡表の「雲」の下限、50日、100日移動平均線が集中する3,900ポイント辺りが考えられます。
※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成
図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率
S&P500業種指数騰落 | 5日 | 1ヵ月 | 3ヵ月 |
エネルギー | 8.1% | 23.0% | 22.9% |
情報技術 | 6.5% | 0.4% | -9.3% |
素材 | 6.1% | 5.6% | -3.6% |
一般消費財・サービス | 5.6% | -2.2% | -7.4% |
コミュニケーションサービス | 5.0% | 1.4% | -9.8% |
S&P500 | 4.7% | 1.6% | -5.3% |
資本財・サービス | 4.7% | 4.5% | -1.9% |
金融 | 3.9% | 3.5% | -1.7% |
不動産 | 2.8% | -7.6% | -17.9% |
ヘルスケア | 2.3% | 3.0% | -2.5% |
生活必需品 | 2.2% | -0.9% | -5.6% |
公益事業 | 2.0% | -11.8% | -8.9% |
騰落率上位(5日) | 騰落率 |
ネットフリックス | 25.9% |
シュルンベルジェ | 19.6% |
ロッキード・マーチン | 16.7% |
AT&T | 14.1% |
オラクル | 13.0% |
騰落率下位(5日) | 騰落率 |
オールステート | -9.3% |
アボットラボラトリーズ | -5.8% |
USバンコープ | -5.3% |
ダナハー | -3.6% |
ロウズ | -3.5% |
注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
先週の米国株式市場
S&P500指数は週間で4.7%、NYダウは4.9%、ナスダック指数は5.2%の大幅反発でした。
7-9月期決算の多くが市場予想を上回り、事前に懸念したほど悪くないとの見方が広がる中、10/20(木)までは米10年国債利回りが上昇を続けたことで株価が抑えられていました。しかし、10/21(金)に金融当局者からFRBによる利上げペースを緩めるべきとの発言が出て、一時4.33%に上昇していた米10年国債利回りが4.2%台に戻ったことから、株式は大幅な反発となりました。
10/21(金)にサンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は、過度な金融引き締めによる「自発的な景気低迷」を回避すべきとし、利上げペースを緩める時期に差し掛かりつつあるという認識を示しました。
また、シカゴ地区連銀のエバンス総裁も、FRBは成長を抑制して過度に高いインフレを低下させるために、来年初までに4.5%を「やや上回る」水準に政策金利を引き上げ、その水準を維持すべきとの見解を改めて示しました。
業種指数では、全業種が上昇となり、さらに景気敏感業種が上位、ディフェンシブ業種が下位を占め、物色傾向の転換を印象付けました。個別銘柄では、ロッキード マーチン(LMT)の上昇が目立ちました。業績は需要の端境期で2023年の売上は前年比横ばいとの見通しを表明しましたが、ロシア・ウクライナ戦争が長引いて事業環境は良く、市場には上方修正への期待が強いようです。
経済指標では、米国の9月中古住宅販売件数が前月比2.1%減(市場予想は同0.4%減)と8ヵ月連続の低下となり、住宅市場の低下トレンドを示しました。
今週の米国株式市場
今週も戻りを試す展開が想定できるでしょう。GAFAMの決算には事前に警戒が高まっているため、株価はポジティブに反応しやすいと考えられ、また、先行きのインフレ鈍化に対する期待も高まりやすいと考えられるためです。当面の上値目途として、一目均衡表の「雲」の下限、50日、100日移動平均線が集中する3,900ポイント辺りが考えられます。
今週の株価材料として、GAFAMの決算、ケースシラー住宅価格、個人消費支出物価指数、などが注目されます。
今週はGAFAM(アルファベット、アップル、メタプラットフォームズ、アマゾンドットコム、マイクロソフト)を含むS&P500指数採用銘柄の150社以上が決算を発表する予定です。
GAFAMについては、SNSのスナップの決算を受けて、同じくネット広告を収益の柱とするメタプラットフォームズ、アルファベットには警戒が高まっています。また、アップルには中国での売上が低調で「iPhone14」の生産削減を行っているとの話が先週出ています。全体的に警戒が高まっていることから、決算発表に対する株価の反応はポジティブになりやすいとみられます。
FactSet社の集計によるS&P500指数の予想EPS(発表済企業の結果と今後発表される企業の予想の混合によります)は前年同期比1.5%増の予想です(10/21(金)時点)。6月末時点の予想は同9.9%増でしたので、アナリストは3ヵ半の間に8.4%ポイントと通常よりもかなり大きい下方修正を行っています。
10/25(火)に発表のケースシラー住宅価格は4ヵ月連続で前年比伸び率が低下、過去1年間もみ合った水準を下振れてくると予想されています(図表3)。これが実現すれば、消費者物価指数の伸びが高止まりしている主因である住居費の伸び鈍化への期待が高まりやすいでしょう。
10/28(金)に発表の米国9月個人消費支出物価指数は総合指数は前年比6.3%増の予想(前月は同6.2%増)、コア指数は前年比5.2%増の予想(前月は同4.9%増)と、いずれも前月から伸び率が高まる予想です。10/13(木)に発表された消費者物価指数でも同様の傾向が示されていたため、改めてネガティブに捉えられる可能性は低いとみられます。ただ、市場はインフレ指標に敏感になっていますので、留意は必要でしょう。
経済指標では上記のほか、10/25(火)に米国の10月コンファレンスボード消費者信頼感(前月の108.0から105.3へ悪化の予想)、10/26(水)に米国の9月新築住宅販売件数(前月比15.3%減の予想)、10/27(木)に米国の7-9月期実質GDP(前期比年率2.3%増の予想)、米国の9月耐久財受注(前月比0.6%増の予想)、などの発表が予定されています。
今週の5銘柄
今回は先週および先々週の好決算銘柄をご紹介いたします。
個別に好決算だったと考えられる、ネットフリックス(NFLX)、インターナショナル ビジネス マシーンズ(IBM)、AT&T(T)に加え、業界として市場予想を上回る決算が目立った航空からユナイテッド エアラインズ(UAL)、大手銀行からはJPモルガン チェース(JPM)を選んでご紹介いたします。
図表3 住宅価格は4ヵ月連続の伸び低下へ
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※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
今週の注目銘柄
注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期は、いずれも2023年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
主要イベントの予定
注:日付は現地時間によります。(E)はBloombergによる予想を示します。企業決算の赤字でのハイライトは、当社顧客保有人数の1~30位、青字のハイライトは31~50位を示します。
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成
おすすめ記事(2022/10/24 更新)
October 24, 2022 at 12:58PM
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