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全世界で約7割の子供が自宅にネットなくてオンライン授業を受けられない「デジタル・キャニオン」(佐藤仁) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース

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サブサハラアフリカでは9割の子供が自宅にネット環境ない

 国連児童基金(ユニセフ)と国際電気通信連合(ITU)は2020年12月1日に、世界の学齢期の子供(3歳~17歳)の約70%(3分の2)にあたる約13億人が、自宅でインターネットに接続できないという報告書(How Many Children and Youth Have Internet Access at Home?)を発表した。また同報告書によると15歳~24歳の若者でも約8億人が自宅からインターネットに接続できないと指摘している。

 世界規模で拡大している新型コロナウィルスによって世界中の多くの国で緊急事態宣言やロックダウン措置がとられて、多くの学校が閉鎖や休校を強いられ、それによって急遽オンライン学習やリモート学習が取り入れられた。日本でもZoomによるオンライン学習が多くの学校で導入され、現在でも多くの大学では対面授業よりもZoomによるオンライン授業がメインという学校も多い。諸外国でもZoomやインターネットでのオンライン授業が導入されたが、自宅にインターネット回線がない、もしくは携帯電話をもっていない、携帯電話を持っていてもいわゆるプリペイド式で長時間のオンライン授業には料金的に耐えられないプランで契約している子供も多かった。

 今回、ユニセフとITUでは世界中の学齢期の子供たちの自宅でのインターネットアクセスに関する報告書を発出したが、自宅でインターネットにアクセスできない子供たちは、学校にも行けずにオンライン授業にも参加することができずに、教育機会を失ってしまった。また自宅にネット環境があっても、新型コロナウィルスに伴って両親が失職してしまったり、学校に行かないので家で仕事の手伝いをさせられたりする子供や、女の子だからという理由でネットを使ってはいけないということでオンライン授業を受けられなかった子供も多い。また都市部よりも農村部では自宅でのインターネットへのアクセス環境がない。

 以下がユニセフとITUが発表した地域別の自宅でのインターネットにアクセスできない子供たちの数字だ。サブサハラアフリカでは9割以上と、ほとんどの子供たちが自宅ではインターネットにアクセスすることができない。

地域:自宅でインターネットにアクセスできない3-17歳の学齢期の子ども(割合

西部・中部アフリカ: 1億9,400万人(95%)

東部・南部アフリカ : 1億9,100万人(88%)

南アジア: 4億4,900万人(88%)

中東・北アフリカ: 8,900万人(75%)

ラテンアメリカ・カリブ海諸国: 7,400万人(49%)

東欧・中央アジア: 3,600万人(42%)

東アジア・太平洋地域: 1億8,300万人(32%)

全世界: 13億人(67%)

「デジタル・デバイドではなく、デジタル・キャニオン」

 ユニセフ事務局長のヘンロエッタ・フォア氏は「世界中の子供の多くがインターネットにアクセスできない状況はデジタル・デバイドではなく、デジタル・キャニオンです。インターネットにアクセスできないことが経済活動にも大きく影響します。ネット環境がないことは、そのような子供たちを世界から孤立させてしまいます。新型コロナウィルス感染のために、世界中で多くの学校が閉鎖、休校されましたが、その期間にオンライン学習に参加できない子供たちは教育を受ける機会を損失しています。インターネットにアクセスできないということは、子供たちの将来への教育投資を失うという大きな犠牲になります」と語っていた。

 デジタル・デバイド(デジタルによる格差)という用語はよく聞くだろう。スマホやPCを所有していてインターネットにアクセスして様々な経済活動ができる人たちとできない人たちとのギャップや格差を表現した用語である。今回、ユニセフ事務局長は自宅からインターネットアクセスができないでオンライン授業を受けられない子供たちのことを「デジタル・キャニオン」という新しい用語で表現した。キャニオンとは米国のグランドキャニオンでお馴染みの峡谷のことである。自宅にインターネット環境がなくてオンライン授業を受けられない子供は、断崖絶壁に狭まれた深い谷間のような状況にいると表している。

 今まで授業は学校に行って対面で授業を受けることが当たり前だったが、新型コロナウィルス感染拡大に伴うロックダウンや休校や学校閉鎖に伴って、諸外国でもオンライン授業が導入されたが、自宅にインターネットにアクセスできる環境がないことから、学校の授業を一切受けることができなくなってしまった子供たちがアフリカや南アジアでは特に多い。そのような教育にブランク(空白期間)のあった子供たちは、学校に行けない期間に家の仕事(主に農作業)を手伝っていて勉強していなかったことが多く、学校が再開されても、勉強についていけない。また新型コロナウィルス感染拡大によって両親の経済的損失が大きいことなどから、そのまま学校をドロップアウトしてしまうことも多い。

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December 13, 2020 at 10:30AM
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