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ネットカフェで立てこもり 届かぬ規制…防犯難しく - 読売新聞オンライン

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 インターネットカフェの防犯に今、厳しい視線が注がれている。埼玉県川越市の店舗で今年、 女性従業員を人質にした立てこもり事件 が発生。同県では昨年にも事件が発生し、その反省から業界は対策に乗り出したばかりだった。背景を探ると、法律の規制が十分に及ばない、「密室性」と「匿名性」の実態が浮かび上がる。(山本光慶)

 福岡市中心部の雑居ビルにある24時間営業のネットカフェ。受付で身分証を示して料金を支払い、渡されたカギを手に店内に入る。机が並ぶオープンスペースや、仕切りで囲われた半個室、施錠できる5畳ほどの「完全個室」10室が並ぶ。客の7割が完全個室を希望し、部屋のテレビやパソコンを使うなどして過ごす。

 川越市の事件は個室の清掃中に発生した。福岡県内では、業界団体「日本複合カフェ協会」(東京)加盟店が九州・沖縄で最多の32店あるとされ、事件への危機感も広がる。店は従業員に、清掃中は内側から施錠するよう指導し、防犯カメラも置くなど防犯に努めているが、男性店長は「密室になる限り、事件はなくせないのでは」と漏らす。

 2021年6月にはさいたま市大宮区のネットカフェで、男が女性従業員を人質に立てこもる事件が起きた。これを受けて業界は再発防止に取りかかった。

 事件の翌月、同協会が警察庁などと意見を交換。客への対応の手引に、▽個室の扉を開けて客に対応するよう努める▽個室に行く際は従業員間の連絡を怠らない――などの規定を加えた。

 しかし、1年後に川越市で事件が起き、対策の限界が明らかになった。同協会は9月2日の総会で、従業員が個室を清掃する際、中から鍵を閉めて作業を行うことを努力義務として盛り込むよう手引を改定した。

 そもそもネットカフェの個室は法律でどう位置づけられているのか。

 風俗営業法では、見通しが困難で、5平方メートル以下の個室で飲食をさせる場合、都道府県公安委員会の許可が必要だ。午前0時以降の営業が禁じられるなど規制がかかり、ネットカフェの実態に合わない。

 福岡県警によると、県内に同法の営業許可を受けたネットカフェはない。個室に5平方メートルを超える広さを確保し、仕切りと天井の間に隙間を空けるなどして、同法の対象外だという。

 個室に寝泊まりする客は多い。だが、一般的にネットカフェは法律上の宿泊施設にはあたらない。

 旅館業法は「宿泊料」を取り、寝具を用いて宿泊させるホテルなどが対象だ。客の氏名などを記載する宿泊者名簿を備え、一定の防犯効果が期待される。

 しかし、多くのネットカフェの利用料金は宿泊料ではなく、時間指定の「パック料金」の名目だ。店が貸し出す膝掛けなども、福岡県生活衛生課は「寝具には該当しない」との見解だ。

 昨年3月、厚生労働省がネットカフェなどでの宿泊の実態について、九州を含む10自治体に尋ねたところ、旅館業法に基づく届け出がないことなどを挙げ、「実態把握が難しい」などの意見が相次いだ。同省の担当者は「営業形態が多岐にわたり、国が一律に基準を決めるのは難しい」と話す。

 関東学院大の出石稔教授(行政法)は「自治体が条例で完全個室を規制するなどして対策を強化すべきだ」と、行政が積極的に関与する必要を指摘する。だが、日本複合カフェ協会によると、全国の都道府県で客の本人確認を条例で義務づけるのは東京都だけ。九州のある自治体の担当者は取材に「旅館業法の対象でない以上、条例制定は検討していない」と答えた。


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September 07, 2022 at 01:00PM
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