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リアルを楽しむオフラインキャンプ 子どものネット依存脱却の契機に - 毎日新聞 - 毎日新聞

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キャンプ最終日に将来の目標やネットとの関わり方を発表する子どもたち=兵庫県姫路市で2021年8月21日午後2時22分、井上元宏撮影 拡大
キャンプ最終日に将来の目標やネットとの関わり方を発表する子どもたち=兵庫県姫路市で2021年8月21日午後2時22分、井上元宏撮影

 インターネットを長時間利用する小中高校生が、ネット無しの環境で4泊5日の合宿をする兵庫県の「人とつながるオフラインキャンプ」が6年目を迎えた。新型コロナウイルス禍が続く今年は例年の3倍を超える47人が応募。ネット依存への関心が高まる中、キャンプを取材し、ネットとの向き合い方を考えた。

「やめたいのにやめられない」

 8月17日、応募者から絞り込まれた小学校5年生~高校1年生の男女20人が、姫路港から船で家島諸島の西島へ到着。島の反対側にある自然体験施設へ歩き始めた。

 「自分でもオンラインゲームの時間が長いと思う」。坂道を歩きながら小学5年生の男の子(11)はつぶやいた。地元のサッカーチームで活躍するが、ゲームを6時間以上やって母親にしかられることも多く、昨年の一斉休校中もずっとやっていた。「トイレに行きたいのに、もう少しでゲームのアイテムがとれると思うと我慢し続けてしまう」。

 キャンプ参加者のネット利用時間は1日最大で4~18時間。コーディネーターの竹内和雄・県立大准教授(56)は「やめたいのにやめられないと自分から参加する小学生も多い。子どもの悲鳴を感じる」と語気を強めた。

いえしま自然体験センター 拡大
いえしま自然体験センター

 キャンプで子どもたちは初日にスマートフォンなどを預け、寝食を共にする。日中は4人1組のグループで活動。各班には2人ずつ「ソーシャルメディア研究会」に所属する県立大の学生らがメンター(相談役)として付き添う。子どもたちにどう楽しんでもらうか、学生らは事前に約70回も打ち合わせを重ねたという。朝7時に起床し、2日目は釣り、3日目はカヌー、4日目はキャンプファイアと大自然の中でみんなで遊び、屋外の炊事場で自炊した。

 夕方に子どもたちは竹内さんと個人面談をし、夜にはメンターと30分、1日の振り返りをする。メンターの県立大3年、桑鶴碧衣(あおい)さん(21)は「子どもの話を聞き、安心感を与えられるお兄さん、お姉さん」と自分たちの役割を説明。子どもから悩みを打ち明けられることもあるという。

 合宿中でも、子どもたちは1日1時間の自由時間にスマホが利用できるロッジに行くことができる。だが、4日間にスマホを使ったのはのべ13人で全員30分以内だった。

 姫路市の小学6年生(11)は海でイシダイやベラなどを釣り上げてから、自由時間は釣りに夢中になりスマホは全く使わなかった。オンラインゲームを始めると、学校の友人などゲーム相手と音声会話機能で話すのが楽しくて1日13時間を費やすこともあるという。最終日、竹内さんと相談してゲーム時間を4時間まで減らす目標を発表。「自分で時計をみてやめられるようになりたい」と話した。

 竹内さんは「目標を達成しようとする子どもの小さな変化に気づき、周囲がほめることが大切」と強調する。【井上元宏】

未成年に多いゲーム依存

 インターネット依存について、キャンプにも参加する神戸市の心療内科「幸地クリニック」の精神保健福祉士、中元康雄さん(47)に聞いた。

インターネット依存症について説明する中元康雄さん=神戸市で2021年9月16日午後7時4分、井上元宏撮影 拡大
インターネット依存症について説明する中元康雄さん=神戸市で2021年9月16日午後7時4分、井上元宏撮影

 ――ネット依存とは?

 ◆依存とは脳の快感や快楽を司(つかさど)る機能の異常で、「わかっちゃいるけどやめられない」と自分でコントロールができなくなる状態です。世界保健機関(WHO)は19年5月に、オンラインゲームのわくわくドキドキ感がギャンブル依存症と類似しているとして、「ゲーム障害」を行動の依存症である行動嗜癖(しへき)に認定しました。ただ、ネット依存の概念は対象が多様かつあいまいで、ゲーム以外のSNSや動画配信サイトに熱中することを依存症とするかどうかは、専門家でも意見が分かれており、議論されています。

 ――なぜゲーム依存に陥るのでしょうか。

 ギャンブル依存症は大人がほとんどですが、ゲームは社会経験の乏しい未成年が圧倒的に多い傾向があります。「ボーナスチャンス」やもう少しでアイテムがとれるなど退屈させないゲームの仕組みも一因でしょう。子どもにとってゲームは仲間とつながる場になっています。敵を倒せば「すごい」と賞賛(しょうさん)され、リアルの世界より居心地の良さを感じる面もあります。それは動画やSNSの「いいね」なども同じです。

 ――抜け出すには?

 ◆子どものネット利用を安易に「だめ」と批判すると子どものガードはますます固くなり、家族関係が次第に悪くなってしまいます。大人が笑顔と愛情でもって、ネット以外にも楽しいことがあるよ、とタイミングを見極めてこんこんと語りかけることが大切です。

 ――コロナ禍の影響は?

 ◆ネットに夢中になる一方で塾通いやクラブ活動など日常生活もかろうじて回していた「グレーゾーン」のユーザーで依存レベルに入る子どもが増えていると感じます。在宅時間が長くなったことに加え、マスク着用の影響も少なからず感じます。話しかけても相手の表情が見えにくいと子どもたちはとても不安です。特に環境が変わる中1や高1は人間関係を築くのがわずらわしくなり、ネットやゲームというわかりやすい世界に向かっています。大人が想像する以上に、リアルの世界での子どものストレスは高まっていると思います。

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October 10, 2021 at 05:00AM
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