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AI判定、ネット配信 ABEMAで観る将棋 - 東京新聞

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将棋チャンネルはパソコンなどから視聴できる。画面上部の「85%」「15%」がAIによる分析

将棋チャンネルはパソコンなどから視聴できる。画面上部の「85%」「15%」がAIによる分析

 高校生棋士、藤井聡太二冠の活躍もあり、将棋熱がますます高まっている。ブームに一役買っているのがインターネット動画配信サービス「ABEMA(アべマ)」の将棋チャンネル。中でも人工知能(AI)「SHOGI AI」による形勢判断の分析などは、対局中継を見て楽しむファン「観(み)る将(しょう)」を刺激している。ネットメディアが放つ盤上支配の勝負手とは。塚本泰隆プロデューサー(33)に聞いた。 (鈴木学)

塚本泰隆プロデューサー

塚本泰隆プロデューサー

 「あの対局で、棋士のすごさをAIで表現できたのではないかと思う」。六月八日、そんな一局があった。渡辺明棋聖と藤井聡太七段が戦った棋聖戦第一局。終盤、渡辺棋聖の十六手連続の王手ラッシュを藤井七段がかわし続けた。

 画面ではAIが「この手以外は全て形勢が逆転する」と情報を出し続けた。「危ない、危ない」と視聴者からドキドキ感が伝わるコメントが続々と寄せられる中、藤井七段はAIが示した通りの手を指し続けて勝った。「それまでにない盛り上がりになった」

 精度を高めるため、ソフトは三種類を使用、“合議制”で五つ程度の候補手や読み筋も表示する。野球中継に例えると「六回表で5対0」というように、対局でもその時点の状況が一目で分かる。「状況を分かりやすく伝えたい」と思ったことがきっかけだったという。

 形勢判断は「評価値」という数値で表されてきた。一般にプラスが大きいほど先手が、マイナスになれば後手が良しとされる。500なら先手有利、マイナス1000なら後手優勢といった具合だ。対局での評価を「70%対30%」などと勝率の表示にした。目安としては、70%は優勢、80%は勝勢とされる。

 最善手を指した時は変わらず、それ以外なら率が下がる。「勝ち」となる詰みの局面は「99%」と表示されるが、どんなに形勢が開いても「100%対0%」にはしない。「間違えたり、反則があるかもしれない。人間がすることなので百パーセントはない」

 そんな中、「AI超え」の一手があった。六月二十八日の棋聖戦第二局。藤井七段が攻めに使うと思われた銀を守備駒として指した。AIが六億手を読んでようやく最善と判断した“神の一手”だった。「AI情報は将棋を科学的にみせる発想ではなく、指標。そんな手が指された時、棋士がAIを超えた証しになるのか判断は難しいが、機械と人間の優劣でなく、盤上のドラマととらえてほしい」

 ABEMAにとって、将棋チャンネルは優良コンテンツ。藤井四段が三十連勝を阻まれた対局は、ユーザー作成とされる非公式の視聴者数ランキングで歴代三位(昨年末まで)に入る注目度の高さを示した。ファンの裾野拡大に一役買うAIについて「初心者もスポーツ中継のようにドキドキ感を持って楽しめるようになり、将棋を身近にしたと思う。視聴者にどんな視聴体験が提供できるのかを今後も模索し、棋士の視点を体感できるようにもしていきたい」と語った。 (肩書や段位は当時)

◆従来の解説との違い 人間には指しにくい手がある

野月浩貴八段

野月浩貴八段

 将棋チャンネルの監修、アドバイザーとして番組作りに提案などをする野月浩貴(ひろたか)八段(47)に従来の解説との違いなどを聞いた。

 −AI情報を見ながらの解説はやりやすい?

 数値が出ることが今の時代は当たり前で、慣れると数値が出ている方が説明しやすかったりする。AIが「最善」と表示する手でも人間には指しにくい手があり、どうして指しにくいのかも含めて話せる。ABEMAは将棋をよく知らない人も見ているため、どうしてこの手なのかを言葉で伝える必要がある。そのためには考えをまとめる必要があり、その作業が改めて指し手を考える時にプラスになっている。

 −棋士もAIの数値は注目している?

 形勢はだいたい分かるが、終盤はファンと同じ目線で、自分ならこう指すという手の評価は見る。新手の場合は評価がどうなのかも込みで見ることがある。ただ、棋士の立場からすると、分かりやすさの演出ということは分かっていても、考えて考えて指した手が「マイナス20%」だったりするとつらい。

 −改良点や課題は。

 アイデアも改良点もまだまだある。CGを使って盤上で読み筋を具体的に示すのも一つだが、対局の盤にCGを重ねるのが将棋文化のためにいいのか議論はある。AIは考える時間が短いと評価が安定しない。一分あればかなり安定するが、持ち時間の短い早指し将棋で、精度をどう上げていくかが課題になっている。

 −さらに面白くなる見方はある?

 棋士にはそれぞれ培ってきた将棋観があり、戦法や勝ち方にこだわりもある。そこを掘り下げてみるのは楽しいかもしれない。

 将棋は逆転のゲームといわれるように、形勢がいい方が常に勝ち切れるほど単純ではない。終盤は持ち時間がない中で、難解で膨大な変化を読み切らねばならない。勝ち筋が一通りの場合もあり、勝率表示が片方に傾いていても逆転の可能性があるかもと考えて見ると、さらに楽しめると思う。

 将棋チャンネルは約20あるABEMAのチャンネルの一つで、本開局(2016年4月、当時はAbema TV)から10カ月後の17年2月に開設された。鈴木大介九段が、親交のあるABEMA藤田晋社長に開設を提案したことがきっかけという。

 チャンネルでは、タイトル戦や藤井聡太二冠の対局の生中継など、毎日無料で対局を見られる。「SHOGI AI」は今年、本格導入された。

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November 22, 2020 at 05:30AM
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