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社説 ネット中傷対策 透明性確保し乱用を防げ - 信濃毎日新聞

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 総務省がインターネット上の匿名の誹謗(ひぼう)中傷から、被害者を救済する新たな制度をまとめた。投稿者の情報が従来より迅速に開示されるようにして、被害者の負担を減らす内容だ。

 会員制交流サイト(SNS)などで匿名の投稿者から中傷を受け、人権が侵害されるケースは深刻化している。

 現在は被害者が賠償請求などのために投稿者を特定しようとしても、SNS事業者や接続事業者を相手にした訴訟など、2回の手続きが必要になることが多い。時間や経費の負担が大きく、泣き寝入りする被害者も多かった。

 今回の対策は、手続きの簡略化が中心だ。新たな裁判手続きを創設し、1回の手続きで裁判所が開示の適否を判断する。時間やコストを低減させ、悪質な投稿の抑止や被害者の救済を図る。政府は来年の通常国会に関連法案の改正案を提出する方針だ。

 被害者救済のためには、手続きの迅速化と経費の軽減は欠かせない。ただし、問題が残る。政治家や企業に手続きが乱用され、正当な批判などネット上の表現活動が萎縮する可能性があることだ。

 ネット被害に詳しい弁護士によると、現在でもネットで批判された企業が、書き込みに虚偽がなくても発信者の情報開示を請求して圧力をかけ、驚いた投稿者が投稿を自主的に削除することがあるという。請求のハードルが下がれば同様の事例が増えかねない。

 新制度の導入は急ぎ足だった。直接のきっかけは今年5月の女子プロレスラーの死去だ。テレビ番組での言動を中傷する投稿がSNSに相次いだ末だった。

 総務相が制度改正を検討する意向を示したのが死去の3日後だ。自民党も同日にプロジェクトチームを設置し、3週間後に提言書を出している。総務省は新制度を検討する有識者会議が8月にまとめた中間とりまとめに、新裁判手続きの創設を強引に押し込み、拙速との批判を受けた。

 同じころ、ネット上の批判が中心となって政治を動かした。検察庁法改正案に抗議するネット上のツイートだ。政府、与党は最終的に改正案の廃案に追い込まれた。新制度には、ネットの言論をけん制する意図はないのか。

 新たな裁判手続きが原則、非公開で行われることも問題だ。プライバシーに配慮した上で、透明性を確保する仕組みが必要ではないか。被害者救済と表現の自由を両立させるためには、慎重な運用と検証が欠かせない。

(11月14日)

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November 14, 2020 at 07:09AM
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