資本力では太刀打ちできない大手と40年以上にわたり戦ってきた地方食品スーパー、スーパーサンシ。黒字化が難しいとされる「ネットスーパー」で独自の収益モデルをいち早く構築、地域で圧倒的なシェアを獲得した。なぜそんなことができたのか。強さの秘密を探る。
![日永カヨー店の宅配デポ。1日当たり約1200件を受注、約450万円の売り上げをたたき出している(写真/上野英和)](https://cdn-business.nikkei.com/atcl/seminar/19nv/120500136/070501070/p1.jpg?__scale=w:500,h:287&_sh=09b0cb0e70)
日永カヨー店の宅配デポ。1日当たり約1200件を受注、約450万円の売り上げをたたき出している(写真/上野英和)
スーパーで最も大切な場所は店舗だと多くの人は思っている。だが「スーパーサンシ日永カヨー店」(三重県四日市市)は違う。ここの心臓部は、店舗バックヤードの荷受け場の一角にある「宅配デポ」なのだ。
スーパーサンシは三重県鈴鹿市に本拠を置き、県内に13店舗を展開するスーパー。収益化が難しいとされる「ネットスーパー」をいち早く成功させ、業界では一目置かれる存在だ。
ネットスーパーの舞台裏
同社では全13店舗のうち7店舗でネット宅配サービスを実施している。ここは、その配送拠点の1つ。出荷時間が迫っているときは、鉄火場のような忙しさだ。社員たちが注文票を片手に冷蔵ショーケースなどから商品を次々にピックアップ。1秒を惜しむかのようにスピーディーに箱詰めしていく。
箱詰めができるタイミングを見計らったかのように、宅配のドライバーが出勤してくる。生産性を高めるべく、わずかでも待ち時間をつくらないためだ。商品の箱詰めをする従業員も、当日の受注件数を予測し、1人1日当たり40箱で計算した上で、人員を無駄なく配置する。
「スーパーの営業利益率はわずか1~3%。利益を増やすためには徹底的にムダを省くことが大事。ささいな節約の積み重ねが利益になる」と、同社ネット宅配事業を束ねる高倉照和専務は話す。
ドライバーは出社後、バックヤード裏の駐車場に直行。宅配用の軽トラックの荷台積み込み口を開け、スタンバイする。たちまち積み込み作業を始め、トラックはあっという間に顧客の元へと出発していった。
日永カヨー店の場合、年商50億円のうち宅配事業が10億円を占める。高倉専務は宅配事業のメリットを次のように説明する。
![旗艦店である日永カヨー店の店頭。開店直後から多くの客でにぎわう(写真/上野英和)](https://cdn-business.nikkei.com/atcl/seminar/19nv/120500136/070501070/p2.jpg?__scale=w:500,h:310&_sh=0880d605f0)
旗艦店である日永カヨー店の店頭。開店直後から多くの客でにぎわう(写真/上野英和)
![](https://cdn-business.nikkei.com/atcl/seminar/19nv/120500136/070501070/p3.jpg?__scale=w:250,h:233&_sh=0170600e20)
「朝には売り上げが確定していて、生鮮食品や総菜などの値引きロス、廃棄ロスがない。既存店舗の空きスペースを活用しているため固定費も低い」。独自の人材配置などもあって、リアル店舗を上回る利益水準だという。
加えて、客単価も上がる。店頭で買い物をする場合、カゴがいっぱいになったらそれ以上は買わない。その点、ネット宅配は物理的な制限がないので、1回当たりの平均購入金額は3500円から4000円と、店頭より1000円ほど高いという。
July 18, 2023 at 03:00AM
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イオンにも負けないスーパーサンシ 大手も苦戦のネット宅配で成功 - 日経ビジネスオンライン
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