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“オワコン”のワンセグ、ネット配信に移行して再び輝けるか - ITmedia ビジネスオンライン

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 民放10局が地上波で放送するテレビ番組をネットで同時配信する「地上波リアルタイム配信」が、4月11日に解禁された(民放テレビ局10社、地上波番組をネット同時配信 きょうから「TVer」で)。

 スマートフォン向けアプリ「TVer」を使うと、ゴールデン・プライムタイムを中心に放送されているテレビ番組を、地上波と同時にリアルタイム配信で見ることができる。

TVerアプリでリアルタイム配信番組を見ることができる。午後7時前後からの番組が配信される。

携帯でテレビといえば、ワンセグ放送

 フィーチャーフォンやスマートフォン初期の頃、携帯電話でテレビを見るといえば「ワンセグ」だった。念のためおさらいしておくと、ワンセグとは携帯電話やカーナビ向けに提供されている地上デジタルテレビ放送のこと。2006年4月1日から放送が開始された。

 日本のデジタル放送は、1チャンネル6MHzの帯域幅を13のセグメントに分割して放送している。そのうちの1セグメントを使って携帯端末向けの放送をすることから「ワンセグ」と呼ばれるようになった。

 初めてワンセグに対応した携帯電話は、回転二軸機構を採用したauの「W33SA」で、ワンセグの放送が始まる前の05年12月に発売された。ドコモ初のワンセグ対応端末「P901iTV」は06年3月に発売。09年2月にはソフトバンクから、ワンセグチューナーを2つ搭載して画面内に2つの番組を同時に表示できる“ダブル・ワンセグ”「932SH」も発売されている。

世界初のワンセグケータイ、auの「W33SA」

 ワンセグはモバイル端末向けということで映像の解像度が低く、QVGA(320×240/320×180ピクセル)で放送された。フィーチャーフォン時代はそれで十分だったが、スマートフォンになってくるとディスプレイのサイズ、解像度が上がり、それに伴ってワンセグだけでなく、12セグメントを使うハイビジョン放送「フルセグ」に対応するスマートフォンも続々登場してきた。

ワンセグは当時の必須機能

 当時のワンセグは、防水防塵、おサイフケータイとともに、日本の携帯電話に欠かせない機能として必ず搭載されていたほどだ。人気のスポーツイベントなどをどこでも楽しめるだけでなく、災害時の情報取得に欠かせない機能としても認められていた。

 例えば、10年前の2011-2012ドコモ冬春モデルは、24機種中14機種がスマートフォンで、海外メーカー製などを除く11のスマートフォンがワンセグに対応していた。従来型のフィーチャーフォン8機種もすべてワンセグ対応。5年前の2016−2017年冬春モデルも、スマートフォン8機種のうち5機種がワンセグに対応していた。フィーチャーフォンの新モデルは減って、らくらくホンを含め3機種のみだったが、いずれもワンセグに対応し、搭載されているのが当たり前だった。

 そのワンセグが、いつしかスマートフォンに搭載されなくなった。直近の2021-2022ドコモ冬春モデルのスマートフォン全8機種のうち、ワンセグに対応しているのは「らくらくスマートフォン F-52B」1モデルのみだ。同じシニア向けでも「あんしんスマホ KY-51B」は対応していない。一般向けのスマートフォンは現在、国内メーカー、海外メーカー問わずワンセグ機能を搭載していない。

 その背景には、10年以降、LTEの高速データ通信が提供されるようになったことがある。YouTubeなどネット上の動画を快適に視聴できるようになったことで、若者を中心にテレビ離れが進んだ。NHK放送文化研究所が21年5月に公開した「2020年 国民生活時間調査」では、国民全体でも1日にテレビを見る人は15年の85%から20年は79%と減少傾向だが、それは特に20代以下で顕著だ。16歳から19歳の約半分は、ほぼテレビを見ないという結果になっている。その代わり、この層はインターネットの利用が多い。

16歳から19歳のテレビの行為者率(1日のうち15分以上テレビを見る人の割合)が47%と半分を切っている
16歳から19歳の8割がインターネットを利用

NHK契約義務判決が、消滅を後押しか

 さらに、ワンセグケータイ減少の決定打となったのが、16年から19年に争われたワンセグのNHK契約義務に関する裁判だ。その頃、自宅にテレビがなく、ワンセグ携帯電話のみを所有している場合に、NHKと受信契約を結ぶ義務があるかないかを争った裁判が複数件あった。そのうちの1件は、一審のさいたま地方裁判所が義務が「ない」と判断して特に注目された。NHKは控訴し、二審で東京高等裁判所が受信契約の締結義務が「ある」とする判決を下す。原告側は上告したが、19年3月、最高裁判所は上告を棄却し、ワンセグのみでも受信契約の締結義務があるとした東京高裁の判決が確定した。

 ワンセグ機能付きの携帯電話にもNHK受信料契約の義務があるという判決が続くと、ユーザーはワンセグ対応機種を避けるようになり、端末メーカーもワンセグ機能をあえて搭載しないようになった。最高裁判決後の2019-2020年ドコモ冬春のラインアップは、スマートフォンが5機種あったが、ワンセグに対応していたのは1機種のみだ。

 フルセグはまだしも、ワンセグは今となってはスマートフォン向けの機能としては物足りない。筆者がワンセグを最後に見たのは5年前ほどになるだろうか。そのときでも人の顔が判別できないほど画像が粗かった。ワンセグはすでにその役目を果たしたといえるだろう。

テレビは動画の王座を取り戻せるか

 TVerのリアルタイム配信は、利便性向上とともに若者のテレビ離れを防ぐ狙いがあるようだ。少し古いデータだが、総務省の「放送を巡る諸課題に関する検討会」において、15年11月に公開された電通総研の資料では、通信回線を使ってテレビ番組をスマートフォンやタブレットで視聴できるようになったら利用するかという質問に対し、若年層ほど高い利用意向がみられた。若者もネット配信されるテレビ番組ならスマートフォンで積極的に見る可能性がある。

ネット配信されたテレビ番組の視聴意欲は若年層ほど高い(「放送を巡る諸課題に関する検討会(第1回)」配付資料より)

 しかし現在、動画配信サービスのプレイヤーは数多い。NetflixやAmazonプライム・ビデオはもちろん、ディズニーやアップルも配信サービスを充実させている。一方でYouTubeやTikTokといった動画投稿サービスも依然として人気だ。人の動画を見る時間は限られている。インターネットで見られるようになったテレビだが、果たして激戦区でライバルから時間を奪えるかに注目だ。

筆者プロフィール:房野麻子

大学卒業後、新卒で某百貨店に就職。その後、出版社に転職。男性向けモノ情報誌、携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年にフリーランスライターとして独立。モバイル業界を中心に取材し、『ITmedia Mobile』などのWeb媒体や雑誌で執筆活動を行っている。最近は『ITmedia ビジネスオンライン』にて人事・総務系ジャンルにもチャレンジしている。


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April 29, 2022 at 05:00AM
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