香港の民主派メディアまたも廃止ネットニュース編集長ら７人逮捕人気女性歌手も - 東京新聞

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　【北京＝白山泉】民主派寄りの論調で知られる香港のネットニュース「立場新聞」が２９日、運営を停止すると発表した。国家安全当局が同日朝、鍾沛権（しょうはいけん）編集長ら幹部７人を扇動目的の刊行物を共謀して発行した疑いで逮捕。さらに６１００万香港ドル（約９億円）の資産を凍結した。「蘋果（リンゴ）日報」に続いて香港の民主派メディアが廃止に追い込まれた。

　立場新聞は２０１４年１２月に創刊し、「独立自主」の編集方針の下で香港政府に批判的な記事を発信してきた。今年６月の蘋果日報の廃刊以降、政府からの圧力が強まり、香港国家安全維持法（国安法）違反で摘発されるのを避けるため、既に掲載していた評論や読者の投稿などを全て削除していた。

２９日、香港のインターネットメディア「立場新聞」の事務所から連行される代理編集長の林紹桐氏（右から３人目）＝共同

　立場新聞は２０１４年１２月に創刊し、「独立自主」の編集方針の下、１９年の大規模デモを精力的に取材するなど香港政府に批判的な記事を発信してきた。今年６月の蘋果日報の廃刊以降、ほぼ唯一の民主派メディアとして政府の圧力を受け、香港国家安全維持法（国安法）違反での摘発を避けるため、既に掲載していた評論や寄稿などを全て削除していた。

　香港メディアによると、２９日朝、２００人の捜査員が立場新聞のオフィスを捜索し、パソコンやニュース関連の資料などを押収。当局は役員ら７人を逮捕したと発表した。昨年の国安法施行後、今年１１月にかけて「世論を扇動する内容の文章」を続けて発信し、香港政府への憎悪をかき立て、暴力行為を扇動した疑いがある、とされた。逮捕者には同社役員で１４年の大規模民主化デモ「雨傘運動」に参加した人気女性歌手の何韻詩（かいんし）（デニス・ホー）氏も含まれる。

　立場新聞は幹部逮捕を受け、フェイスブックの公式アカウントで、ニュースなどの更新を停止し全職員を解雇すると発表。「民主や人権、自由など香港の核心を成す価値観を守るため力を尽くした。これまでの読者の支援に感謝します」とコメントした。