性的暴行被害者の訴えにネット騒然中国で告発相次ぎ企業や当局動かす背景に「#MeToo」運動 - 東京新聞

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　中国で今夏、性的暴力の被害を訴える女性が相次いだ。いずれの件もネット上で被害者が詳細を暴露し、関係者や司法当局が対応に動くという経緯が共通する。性的被害を訴える「＃ＭｅＴｏｏ」運動の中国版はネット上を主な舞台とし、批判や中傷にさらされながらも続いている。（北京・中沢穣）

◆「名誉のため」企業は当初もみ消し

　８月７日夜、中国のネット上は、電子商取引（ＥＣ）最大手アリババグループの女性従業員が発表した長文で騒然となった。

　「上司の男に出張を強要され、無理やり酒を飲まされた後、取引先の男に胸や脚、陰部を触られた。（略）同夜、ホテルの部屋で上司に暴行された」。文章はこんな記述から始まる。

　それによると、女性は警察に被害を届けると同時に、同じ部署の別の上司や人事部門にも相談したが、「上司の解雇などの処分はしない。あなたの名誉のためだ」と伝えられたという。

上司らによる女性従業員への性的暴力が、ネット世論の批判を巻き起こしたアリババグループ＝北京市で（ＡＰ）

　しかし事態は文章発表直後から急展開する。アリババの張勇会長兼最高経営責任者（ＣＥＯ）は８日早朝に対応の遅れを謝罪し、翌９日には、上司の「永久追放」と、女性の訴えをもみ消そうとした責任者らの処分を発表した。警察は２５日に取引先の男を強制わいせつ容疑で逮捕し、上司も同容疑で調べていると明らかにした。

　この間、アリババの企業文化や飲酒を強いる酒席文化にも注目が集まり、ネット世論は女性への支援が目立った。８日夜には複数のアリババ従業員が会社側に厳しい対応などを求める声明を出した。

　一方で、「飲みすぎたのが悪い」などと女性への非難も少なくない。さらに上司の妻が「女性側が夫を誘惑した」と反論したこともあり、女性への風当たりは強まった。

◆１人の訴えきっかけに７人被害訴え

　一方、７月末には韓国の男性アイドルグループ「ＥＸＯ（エクソ）」元メンバーの中国系カナダ人、クリス・ウー（中国名・呉亦凡）容疑者（３０）が強姦容疑で警察に拘束された。「中国で最も有名な男性の１人」（香港メディア）による事件として注目を集め、ポルシェやルイ・ヴィトンなど少なくとも１７のブランドが広告契約などを解約する事態になった。