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中国の次なる野望:ブロックチェーンでネット支配 - Wall Street Journal

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 大規模なネット検閲システム「防火長城(グレート・ファイアウオール)」を展開する中国が、サイバー空間で未開拓の地に秩序をもたらそうとしている。次世代インターネットの世界で主導権を握ることが狙いだ。

 中国政府が後ろ盾となって取り組んでいるのは、暗号資産(仮想通貨)ビットコインを支える技術として知られるブロックチェーン(分散型台帳)の整備だ。ブロックチェーンは将来的に多方面で活用が期待されているが、統一の技術規格が欠如していることが足かせとなっている。

 そこで中国政府は、サーバースペースを破格の値段で貸し出し、各国からデベロッパーを招いて、自らが描くブロックチェーンの未来像を共有する世界を目指している。成功すれば、中国は将来のインターネットそのものの開発に多大な影響力を及ぼすことになる。また、国産の全地球測位システム(GPS)やデジタル通貨といった中国のイノベーションの国際的な利用も視野に入る。

 「ブロックチェーンに基づくサービス・ネットワーク(BSN)」と呼ばれる中国の取り組みは、世界中のデベロッパーに不可欠なデジタルインフラを提供する。具体的には、年間数百ドルのサーバースペース、ブロックチェーンを作るためのプログラミングツール、そして最も重要なのが特定の基本機能を標準化するためのひな形だ。

 いずれは多数の関係者が取引で同時にやりとりし、安全に資産をネットに移行できるようになる、というのがブロックチェーンの売りだ。例えば、住宅売買では電子メールや書類に代わり、売り手、買い手、ブローカーが、弁護士や住宅ローンを提供する銀行、物件記録の査定担当者らと同じシステムでやり取りできるようになる。

 「インターネットは極めて旧型のシステムだというのが個人的な見解だ」。BSNのプロジェクトを率いるエンジニア・投資家のHe Yifan氏はこう話す。「これはネットの次の段階だ」

 BSNは導入からおよそ1年で2万人のユーザーを抱え、数千単位のブロックチェーン関連プロジェクトが進められている。国家の強力な後押しでブロックチェーンの本格始動を目指す試みは、通常はスタートアップ企業が飛躍的な発展をけん引するハイテク業界に、興奮と不安をもたらしている。

 米企業もブロックチェーンが秘める潜在力にすでに魅了されている。米航空機大手ボーイングは安全強化に向けた飛行空間の管理に、小売り大手ウォルマートは食品の追跡に、それぞれブロックチェーンを活用している。調査会社ガートナーは、ブロックチェーンの新たな利用による市場規模が2020年代末までに3兆ドル(約330兆円)に達すると予測している。

 テクノロジーコンサルタントのアービング・ラダウスキー・バーガー氏は、統一標準の欠如により、ブロックチェーンは仮想通貨以外で潜在力を発揮できずにいると指摘する。インターネットも現在の形になるまでにコンピューター科学者が数十年かけてネットワークを構築。米国で生まれたTCP/IPと呼ばれるプログラミング通信プロトコルの登場で初めて、多数の異なるシステムがコミュニケーションできるようになり、急速に普及した経緯がある。こうしたネットの発展経緯とブロックチェーンを重ねる向きは多い。

 異なるブロックチェーン同士を接続する「相互運用性」と呼ばれる技術仕様はまだ途上にあるが、インターネットの成熟に向けた魔法の鍵となる可能性がある。

 「(BSNは)極めて大胆な試みで、ブロックチェーン業界は完全に夢中になっている」。こう指摘するのはテクノロジー助言会社ディープ・アナリシスの創業者、アラン・ペルツシャープ氏だ。「何らかの対応が必要になる水準にハードルを設定しており、手を打たない国は取り残される」

 BSNは、国家発展改革委員会(NDRC)、中国移動(チャイナ・モバイル)の傘下部門、クレジットカード決済の中国銀聯(チャイナ・ユニオンペイ)のほか、主要国有企業や前出のHe氏が率いる北京紅棗科技(ベイジン・レッド・デート・テクノロジー)が主導する。

 マサチューセッツ工科大学(MIT)に留学経験のあるHe氏は、中国政府が関与することで、国外でのBSNの魅力が落ちる可能性があることを認めた。だが、BSNの目的は情報の管理ではなく、ブロックチェーンの規模を拡大するための枠組みを確立することであり、ウェブページへの道を開いた「http」を開発するようなものだと話す。

 BSNの創設は、先端技術に影響力を及ぼし、「網絡強国(サイバー強国)」を目指す中国の野心に一致する。これは直近の5カ年計画にも盛り込まれた。

 保守系シンクタンク、新アメリカ安全保障センター(CNAS)の元米中央情報局(CIA)研究員、ヤヤ・J・ファナシー氏は、BSNへの警戒を隠さない。同氏は最近、議会リサーチパネルで「中国政府は世界的に優位な立場を築くため、BSNの開発を進めている」と指摘した。

 その上で、中国はここにきて、テクノロジーを武器に、当局に歯向かう企業を締め出す考えであることを明確にしたと話す。3月には、ウイグル問題を巡り、同地域産の綿花を使用しないと表明したスウェーデンの衣料小売り大手ヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)を中国のネット上からほぼ駆逐した。

 ファナシー氏は、BSNを支持しないよう警告。とりわけ中国共産党が神経をとがらせる問題に対して、世界がぜい弱になる恐れがあるとの考えを示している。

 中国に対抗できる国家主導のブロックチェーン開発は、存在していない。米国が追随するには、政府の資金や影響力を駆使して、アマゾン・ドット・コムやマイクロソフト、アルファベット傘下グーグルなどのクラウド大手を含め、ブロックチェーン関連業界に対し競争を棚上げし、単一のブロックチェーンのソリューションを開発することで合意させる必要がある。

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May 12, 2021 at 12:51AM
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