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Webやアプリの利用者情報保護規制、ネット業界反発で後退の舞台裏 - ITpro

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 2021年3月に明らかになったLINEの個人情報管理を巡る問題を受け、事業者のサービス利用者情報の適切な管理などを検討していた総務省の有識者会議「電気通信事業ガバナンス検討会」が2022年1月14日、報告書案をまとめた。Webサイトやスマートフォンアプリケーションの利用者情報保護の規制を強化する内容で、2022年2月4日まで意見募集する。総務省は今回の報告書を基に、電気通信事業法の改正案を今国会に提出する予定だ。

 だが、報告書案がまとまるまでには、ネット事業者など業界団体の強い反発があり、当初案よりも利用者情報保護の内容が後退するなど、紆余曲折の経緯をたどった。何があったのか。

利用者情報の保護を強化

 2022年1月14日に示された報告書案は、Webサイトやアプリといった電気通信サービスの利用者情報の保護を強化する内容である。具体的には利用者情報取扱規定の策定や管理者の選定、情報取扱方針の策定と公表などを事業者に求める。

 規律の対象となる事業者は、通信会社などの電気通信事業者に加え、「利用者への影響度が大きい大規模なサービス」を提供する事業者も含む。具体的にはSNS(交流サイト)や検索サービスを挙げた。

 一般にターゲティング広告などの配信では、利用者が利用するWebサイトやアプリに設置された情報収集モジュールなどで閲覧履歴や端末利用情報などが、第三者に送信されている。そこで、報告書案ではWebサイトやアプリのサービス提供事業者がこうした外部送信を行う場合には、原則として通知・公表を行い、もしくは利用者の同意取得かオプトアウトの機会を提供することを求めた。この対象には、これまで「通信の秘密の保護」「検閲の禁止」以外は電気通信事業者法の規律対象外だった「電気通信事業を営む者」も含む。

 ただ、報告書案に示された規制強化の内容は、2021年12月まで同検討会で検討した当初案からは後退した。当初は、閲覧履歴などの外部送信の際には、同意取得かオプトアウトを義務付ける予定だった。

 また、利用者情報を保管するサーバー設置国名などの公表義務付けが検討されていたが、事実上見送られた。2022年1月11日の検討会でヒアリングを受けた在日米国商工会議所から「グローバルでビジネスをしているのでデータはグローバルに置いている。その時点でどの国にデータがあるのかを示すのは難しい」とした意見が出たことを踏まえ、「公表する場合の記載方法は産業界の意見を踏まえて検討していきたい」(総務省)と今後の検討課題となった。

当初案から変更になった利用者情報保護の主な内容

出所:総務省の資料を元に日経クロステック作成

当初案 報告書案
対象の情報 利用者に関する情報で利用者を識別することができるもの 契約や利用登録した利用者に関する情報に限定
利用者情報の外部送信 同意取得かオプトアウト 通知や公表、もしくは利用者の同意取得かオプトアウト
利用者情報を管理するサーバー設置場所や委託先 国名を公表する 記載方法など検討を続ける
全ての電気通信事業者に求める規律 利用者情報の安全管理、委託先監督など 将来的な課題

「じくじたる思いだ」

 「今回あるべき姿をしっかり議論できたかというと、至っていないとじくじたる思いだ」――。2022年1月14日の同検討会の最後、座長で東京大学公共政策大学院の大橋弘教授はそう述べて会合を締めくくった。

 その直前には、同検討会構成員で東京大学大学院工学系研究科の相田仁教授が「法改正の一番の基本方針をこの検討会で考え、詳細はまた引き続きオープンな場で議論するということだったと思うが、密室で全部決めてしまうと外の方に受け取られたのが不幸だったと思う」と同検討会について所感を述べた。

 こうした声が検討会構成員から相次いだ背景には、電気通信事業法改正を念頭に置いて進めていた同検討会の検討過程での、事業者や業界団体との調整不足やコミュニケーションの課題があった。

 同検討会は2021年5月に設置、2021年11月まではクローズドの会合で議論が進められた。2021年11月12日の第11回会合で示された「電気通信事業ガバナンスの在り方と実施すべき措置」について、一部の事業者に対して書面での事業者ヒアリングがなされ、その結果が2021年11月26日の第12回会合で匿名での事業者ヒアリング結果として公表された。

 一方、規制強化の内容について「寝耳に水」だった新経済連盟は、2021年12月17日に「電気通信事業法の改正の方向性に対する懸念について」とした文書を公開。「ネット利用企業/デジタルサービスを広範に網にかけた規制強化を行おうとすること」「電気通信事業法と個人情報保護法との二重規制や過剰規制となること」などを問題視した。

 これに対し、パーソナルデータの適切な扱いについて活動する「MyData Japan」は2021年12月24日、「新経済連盟の『懸念』に対する懸念」とした文書を公開して、新経済連盟の懸念点に対して反論するとともに、一部については規制対象事業者をより広くすることなどを提言した。

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January 20, 2022 at 04:30PM
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