<ネット依存 コロナ禍の子どもたち⑤>
群馬県の北西部に位置する
◆2人に1人の小学生がスマホ所持、禁止は難しく
児童数は約500人。「スマートフォンや携帯電話を子どもに持たせない。その方針を、町ぐるみで進めてきました」。校長の浅井広之(55)が振り返る。
きっかけは2010年、健康への悪影響や生活の乱れを心配した養護教諭らの声だった。町が賛同し、取り組みが始まった。
しかし、これだけスマホが普及する中、昔ながらの禁止一本やりは難しい。「親御さんが連絡用に買い与える例も増えているようで…」と浅井も認める。
町によると、21年度の町内の小学生のスマホ不所持率は50.3%。2人に1人が持っている計算だ。その上、1人1台の学習用タブレット端末が中之条小にも配備され、デジタル化の波が押し寄せた。
◆小学校で出前授業 ネットのリスク説明
「インターネットと上手に付き合うための教育が必要なんです」
市民団体「子どものネットリスク教育研究会」(東京都八王子市)の代表で元中学校教諭、大谷良光(74)が力を込める。ネットの危険性を伝える啓発活動を続けている。
かつてはいじめや詐欺が課題だったが、健康問題に危機感を抱くようになった。専門知識を持つインストラクターを養成し、各地の学校へ「出前授業」をしようと働きかけている。
昨年11月、大谷が訪れたのが中之条小。体育館に集まった5・6年生に、目の健康について語った。
「スマホを近い距離で見続けると、『寄り目』になったり、片目で見るくせが付いたりします」
片眼視が進むと、物を立体的に捉えられなくなる。「野球のバットに球が当たらなくなってしまう。人ごとではないですよ」
最後に、目を守る対策を授けた。デジタル機器を目から30センチ以上離す。長時間使わない。晴れた日は外で遊ぶ。夜は使わない…。
出前授業は、ゲーム障害(ゲーム行動症)や脳の発達阻害など、幅広いネットのリスクに及ぶ予定だ。
◆「まず大人が付き合い方を変えないと」
電車に乗れば、多くの人々がスマホから目を離さない現代社会。高齢者や妊婦が乗ってきたら顔を上げ、席を譲る人がどれだけいるだろう。
混雑する駅の構内でも繁華街の路上でも、「歩きスマホ」をやめられない大人たち。子どもと一緒にいながら、スマホに熱中し続ける父親に母親…。
「隣人への無関心や、家族とのコミュニケーション不全が進んでいると思う。子どもをネットの負の側面から守るには、まず大人がネットとの付き合い方を変えないといけない」。大谷はこう考える。
ネットやデジタル機器は必要不可欠。だが、そのリスクを理解し、適切なタイミングで使うのをやめる意志を、多くの大人が共有することだ。
「それができないなら、社会全体がネット依存に陥りかねない」=文中敬称略、連載終わり
◇
<連載:ネット依存 コロナ禍の子どもたち>
子どもたちの生活に、デジタル機器が猛烈な勢いで入り込んでいる。健康や学び、コミュニケーションに負の影響は出ていないか。「依存」に陥らない、インターネットとの適切な関係を5回にわたって考える。(臼井康兆)
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March 29, 2023 at 04:00AM
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