関西２府４県の去年分の政治資金収支報告書が３０日、公表されます。
関西では兵庫県だけが収支報告書をインターネットで公表しておらず、専門家は行政のデジタル化が進められる中、明らかに対応が遅れていると指摘しています。
政治資金収支報告書は、総務省と都道府県の選挙管理委員会が受け付け、公表を行っていて、関西の２府４県に提出された政党の支部や政治団体の去年１年間の収支報告書は、３０日、公表されます。
その公表の方法についてＮＨＫが取材したところ、関西では、兵庫県以外の府県は、いずれも、収支報告書をネットで閲覧できるようホームページで公表するということです。
一方、兵庫だけは、ネットで公開せず、閲覧は県庁の窓口を訪れるか、報告書の写しの交付を請求するかに限られます。
総務省は、全国すべての都道府県に対してネットでの公表を積極的に検討するよう通知していて、去年の時点で、全国で対応していないのは兵庫を含む６つの県だけでした。
理由について、兵庫県は事務処理を行う職員が不足しているためなどとしています。
政治とカネの情報公開に詳しい大阪の公益財団法人、「政治資金センター」の代表理事、阪口徳雄 弁護士は「国民が選挙で正しい判断をするため、政治とカネについての資料は広く公開される必要がある。兵庫ほどの大きな県が対応しないのは残念で行政のデジタル化が進む中、明らかに遅れている」と指摘しています。
【兵庫知事“時代踏まえ議論”】。
政治資金収支報告書のインターネットでの公開が行われていないことについて、兵庫県の斎藤知事は、事務処理を行う職員が不足していることなどが理由だと説明したうえで、「より幅広くアクセスしやすくすることは時代の流れだ」と述べ、今後、県の選挙管理委員会で議論が進むことに期待感を示しました。
政治資金収支報告書は、総務省が平成１６年に全国すべての都道府県に対して、インターネットでの公表を積極的に検討するよう通知していますが、兵庫県はことしもネットでの公開を見送りました。
これについて、斎藤知事は先日の記者会見で、事務処理を行う職員が不足していることなどが、ネットでの公開が行われていない理由だと説明しました。
そのうえで、「いろんな形で国民に情報をオープンにしてより幅広くアクセスしやすくすることは時代の流れで、その環境作りをしていくのは大事なポイントだ。その流れを踏まえながら県選挙管理委員会でしっかり議論してほしい」と述べ、今後の議論の進展に期待感を示しました。
【専門家“対応遅れ”】。
関西で兵庫県だけが政治資金収支報告書のインターネットでの公表を行っていないことについて、専門家は行政のデジタル化が進むなか、明らかに対応が遅れていると指摘しています。
収支報告書のネットでの公表をめぐっては、総務省は１７年前の平成１６年、すべての都道府県に対し、積極的に検討するよう通知しています。
全国では、去年の時点で４１の都道府県がネットで公表していて、対応していないのは、兵庫を含む６つの県だけでした。
政治とカネの情報公開に詳しい大阪の公益財団法人、「政治資金センター」の代表理事、阪口徳雄 弁護士は「国民が選挙で正しい判断をするため、政治とカネについての資料は広く公開される必要がある。兵庫ほどの大きな県が対応しないのは残念で行政のデジタル化が進むなかで明らかに遅れている」と指摘しています。
一方、デジタル化をめぐっては収支報告書を提出する政治団体の側にも課題はあります。
政治団体のほとんどは、紙で印刷して窓口に持参しています。
総務省は、１１年前、２０億円余りをかけてオンラインで提出するシステムを導入しましたが、ＮＨＫが、ことしの国会議員関係の政治団体の利用率を取材したところ、２.７％にとどまっていました。
阪口弁護士は「自治体は、紙で提出されれば、ひとつひとつＰＤＦにして公開する必要があるが、オンライン経由で電子データで出されれば、公開に時間もかからず、予算も安く済む。どの政治家が誰から寄付を受けているか容易に検索できるようになり、選挙の際の判断材料にもなる」としています。
November 29, 2021 at 01:35PM
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