インターネットでは男心につけ込む詐欺が横行している。実行犯は、被害者が羞恥心から警察への通報を控えることを知っている。だが通報せねば、ネット詐欺はいつまでたってもなくならない。摘発を逃れ、今日も誰かをだましている犯人の素顔を暴くべく、記者はあえてネット詐欺にひっかかってみた。
![突然、「登録完了」などのメッセージを表示し、サイト閲覧者を焦らせるのがワンクリック詐欺の手口だ](https://cdn-business.nikkei.com/atcl/gen/19/00132/121200029/p1.jpg?__scale=w:500,h:273&_sh=0960960380)
突然、「登録完了」などのメッセージを表示し、サイト閲覧者を焦らせるのがワンクリック詐欺の手口だ
取材活動の一環で成人向けのサイトを閲覧していると、「有料会員登録が正常に完了しました」というメッセージが表示された。よく読むと、30万円の登録料がすでに発生したと書いてある。支払わなければ、法的手段に訴えるという。
急いで指定の電話番号にかけると、男性が出た。口調から推し量るに、まだ若そうだ。
相手は、「本日中に入金すれば割引料金を適用できる」「拒否すれば、あなたの職場に関係書類を送りつける」などと、硬軟織り交ぜて支払いを迫ってきた。
頃合いを見て、「私は雑誌記者で、ネット詐欺について記事を書こうと思っている。どうか一度会って詳しく話を聞かせていただけないか」と切り出した。一瞬の沈黙の後、「記者にしては口下手だ」と返答があった。
「私は本当に記者だ」
「記者ならしゃべりがもっとうまいはずだ」
「口下手な記者もいる」
押し問答の末、電話は一方的に切れた。
年間1万件を超える相談
記者が電話でやりとりしたのは、「ワンクリック詐欺」と呼ばれる手口の実行犯だ。成人向けサイトの年齢確認ボタンなどを1回クリックしただけで、高額の利用料を不当に請求されることから、そう呼ばれる。数回クリックする場合もあるが、それらもまとめてワンクリック詐欺と総称する。
全国の消費生活センターに寄せられたワンクリック詐欺の相談件数は2022年度に1万172件に上った。減少傾向にあるとはいえ、依然として高い水準だ。
記者は結局、ワンクリック詐欺の実行犯とは会えなかった。そこで、日本のサイバー犯罪捜査の草分け的存在で、これまで大勢の実行犯を取り締まってきた京都府警の元捜査員、木村公也氏に話を聞くことにした。
![日本のサイバー犯罪捜査の草分け的存在である京都府警の元捜査員、木村公也氏](https://cdn-business.nikkei.com/atcl/gen/19/00132/121200029/p2.jpg?__scale=w:500,h:388&_sh=0740dd0380)
日本のサイバー犯罪捜査の草分け的存在である京都府警の元捜査員、木村公也氏
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December 28, 2023 at 03:00AM
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